原始惑星系円盤に生じた大きな隙間は単独の惑星によるもの

PDS 70は、ケンタウルス座の方角にある生まれたばかりの恒星です。周りには、他の若い恒星と同様に、ガスとダストからなる「原始惑星系円盤」があります。

円盤は幅の広いギャップ(隙間)で内側と外側に隔てられており、ギャップの中には惑星「PDS 70 b」が存在します。この構造は惑星に関連して作られたと見られますが、幅の広いギャップは複数の惑星を仮定しなければ説明できないと考えられてきました。

今回 Dhruv Muley氏らの研究グループがarXivに投稿した研究では、数値シミュレーションを用いて、単独の惑星で幅の広いギャップを再現することを試みました。

観測によると、惑星PDS 70 bは恒星から22天文単位(=地球と太陽の距離の22倍)の距離にあります。ギャップ外縁の半径はガスとダストのどちらに基づくかで変わってきます。ガスのギャップは半径33天文単位が外縁となっている一方、ダストのギャップはこれより広い60天文単位まで続いています。

研究には二次元の流体力学シミュレーションを用いました。惑星は最初半径22天文単位の軌道にあり、周囲のガスを取り込みながら成長します。

研究グループは、条件を変えながらシミュレーションを繰り返し、次のような過程で幅の広いギャップ構造が生じることを明らかにしました。

惑星と円盤
質量の大きい楕円軌道の惑星は原始惑星系円盤に広いギャップを生じさせる(詳細

まず惑星質量が小さい間は円盤ガスに円形の狭いギャップが生じます。惑星質量が木星の2.5倍を超えると、ギャップの外側にある円盤が楕円形に変形し、これに呼応して惑星の軌道が楕円になります。すると今度はギャップの幅が広がり始めます。

このようにして、シミュレーション開始から460万年後にPDS 70によく似た幅広のギャップを持つ円盤が完成しました。この円盤ではガスのギャップが30~35天文単位付近まで広がり、ガス圧力の極大が半径63天文単位に生じました。

円盤内のダストは一般的にガスの圧力が極大値を取る半径に集まることが知られています。そのため、シミュレーションで見られたガスの分布は、観測されたダストのギャップをよく説明できます。

一連のプロセスのうち特に重要な要素はどれでしょうか?惑星を円軌道に固定したシミュレーションでは、惑星質量を大きくすると円盤が楕円になりましたが、ギャップの幅は不十分でした。これは惑星が楕円軌道に変化することがギャップの幅を広げる上で特に重要なことを示しています。

今回とは別の見方として、幅広のギャップは複数の円軌道をもつ惑星によって形づくられたというものがあります。しかし研究チームは少なくともPDS 70系についてはその可能性は低いと見ています。惑星が円軌道を保つためには惑星質量が小さいか円盤ガスの密度が十分に低い必要があり、これは観測されたPDS 70系の特徴に矛盾します。研究チームは、仮に別の惑星が存在しても、それは円盤に大きな影響を与えない低質量の惑星に限られると考えています。

今回の研究は、PDS 70 bが楕円軌道を持つことを予測しています。PDS 70 bは発見されて間もないため軌道は分かっていませんが、今後の観測で楕円軌道を持つことが明らかになるかもしれません。

Muley氏らの研究は2019年2月19日にarXivに投稿され、20日に公開されました。

参考文献

  • Muley, D., Fung, J. & van der Marel, N., 2019, “PDS 70: A transition disk sculpted by a single planet”, arXiv:1902.07191v1.

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