太陽風が太陽の自転軸を傾けた?

太陽から吹き出す希薄な物質の流れ「太陽風」が太陽の自転軸を傾けたという説が唱えられました。

水星を除く太陽系の7つの惑星はほぼ共通した軌道面を持ち、角度のばらつきは3度の範囲内に収まります。これは惑星が薄い円盤状の「原始惑星系円盤」から作られと考えれば自然に説明できます。

一方で、惑星の軌道面に対して6度傾いた太陽の赤道面を説明するには、何らかの特別なメカニズムが必要です。これまでに、例えば、原始惑星系円盤が様々な理由で太陽に対して傾いたという説が唱えられています。

イェール大学に所属する Christopher Spalding 氏が5月22日にarXivに投稿した研究(arXiv:1905.09094)は、「太陽風」がこの傾きを引き起こしたという説を唱えています。

太陽風の働き

太陽風は太陽の角運動量を運び去ることで太陽の自転を徐々に遅くしています。生まれた直後の太陽は数日周期で自転していましたが、誕生から46億年を経た現在では27日前後(緯度によって異なる)です。

自転が10倍長くなったということは、当初太陽が持っていた角運動量の9割が、太陽風によって運び去られたことを意味します。

太陽風が自転軸に対して非対称に放出されれば自転軸は変化します。角運動量の大半が運び出されたことを考えると、小さな非対称性でも無視できない影響を及ぼす可能性があります。

モデル

Spalding氏はこの説を検証するために、太陽風が太陽の自転軸からずれた方向に(=非対称に)放出されるという数値モデルを作りました。このモデルでは「ずれ」の方向や大きさはランダムに変化します。

自転を大きく傾けるには単に「ずれ」が大きいだけでは不十分です。「ずれ」の方向が短時間でランダムに変われば、自転を傾ける力は長期的に見て打ち消し合うからです。「ずれ」にはゆっくりとした変動(=時間スケールが長い変動)が必要です。

シミュレーションによると、「ずれ」の典型的な大きさが10度・「ずれ」の変動時間スケールが1000万年・太陽の初期自転周期が1日という条件で、現在の太陽にみられる自転軸の傾き(=約6度)が生ることが分かりました。

自転軸の大きな傾きが生じたのは最初の1億年に限られました。この時期は太陽の自転が急に減速される(=角運動量が太陽風によって活発に運び出される)時代であり、それだけ非対称性の効果も効きやすくなります。

メカニズム

問題は、非対称性がどのようにして生じるかです。

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