ダストに囲まれた変光星

恒星とダスト
恒星とダストの想像図

誕生直後の状態から成熟した恒星への過渡期にある星の中には、不規則な変光を示すものがあります。今回そのような4つの星をターゲットに観測が行われ、変光の原因は星の周囲にあるダストだと確認されました。

誕生直後の恒星は「Tタウリ星」という分類名で呼ばれます。これらの星はガスとダストからなる「原始惑星系円盤」に囲まれ、円盤内の物質によって不規則な変光を示すものが多くあります。

誕生から数百万年経つと円盤のガスは散逸し、惑星やダストが残ります。長い間、このようなTタウリ後の過渡期にある恒星では、ダストによる変光を示すものは少数だと考えられてきました。

しかしここ10年の間にこの見方は覆されつつあります。

今回スコットランドのセント・アンドルーズ大学に所属するA. Scholz氏らがarXivで公表した研究は、オリオン座の星形成領域に存在する4つの若い恒星(オリオン座V1959・V1999・V2227・V2559)を扱っています。

これらの星は、2005年に変光を示す「Tタウリ星」として発見されましたが、2016年に当初の分類は誤りで、既にTタウリ星の段階を終えた(円盤ガスが散逸した)星だと確認されました。

研究チームは4つの星の性質を調べるために、ラス・カンブレス天文台1m望遠鏡ネットワークを使って観測を行いました。

変光の基本的なパターンは4つの星に共通で、数時間から数日に1回の頻度で、平常光度に対して非周期的かつ不規則なV字底の減光が入るものです。これは、ダストが恒星の手前を横切り光を遮る場合にみられる典型的なパターンです。減光の頻度の高さから恒星の周りには複数のダスト雲が漂っていると見られます。

一方で、減光の頻度や、光度変化の速さは4つの天体で異なっています。

研究チームは、恒星に近い所にある物体ほど素早い光度変化をもたらすことに着目し、ダスト雲が公転する軌道を推定しました。その結果、ターゲットにより0.01天文単位から20天文単位(1天文単位=地球と太陽の距離)というおおよその推定を得ました。

過去の観測と突き合わせたところ、この軌道半径はほぼ一定でした。 これはダスト雲が長期間にわたって同じ軌道半径に留まっていることを示しています。

また、今回の観測では2つの波長(色)のフィルターで同時にターゲットを観測し、恒星が減光すると平常時より赤くなることが分かりました。これはダストが恒星の光を隠す時に見られる典型的な特徴で、ダストが減光をもたらしているとの見方を裏付けています。

また研究チームは別のアプローチとして、今回のターゲットに似た若い星のうち、ダスト雲による変光を示している割合を調べました。その結果、少ないサンプルに基づく不確かな結果ではあるものの、その割合は1割程度と分かりました。

仮に、ダストの雲が円盤のような上下に薄い分布ならば、偶然恒星系を真横から見る配置でない限り、ダストが恒星に被さることはありません。そのため1割という割合は説明し難いものです。そこで研究チームは、ダスト雲は上下に拡がりを持って分布していると推定しています。

今回研究されたようなTタウリ星の段階を終えた星は、かつては大きな変光を示さないと考えられてきましたが、ここ10年程度の間にその見方を覆す天体が多く見つかっています。

ケプラー宇宙望遠鏡の観測でもこのカテゴリーに該当する変光星が多く見つかっており、謎の変光星として知られる「ボヤジアン星」もこの種の天体の特殊な例かもしれません。

このようなダスト雲がどのように形成されるかは現時点ではよく分かっていませんが、惑星の形成と密接に関連しているとみられています。この分野の研究が進めば惑星形成の過程について理解が深まることが期待されます。

Scholz氏らの研究は2019年1月29日にarXivに投稿されました。arXivへの投稿に付随する著者のコメントによると、論文は『王立天文学会月報』(MNRAS)に受理され、掲載予定とのことです。

参考文献

Scholz, A. et al., 2019, “Clumpy dust rings around non-accreting young stars”, arXiv:1901.10386.

(3月1日)表を新しいスタイルに更新しました(内容に変更はなし)。

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