ケプラー延長ミッションの初期データから惑星候補が見つかる

ケプラー宇宙望遠鏡の延長ミッションのデータから、高温の主星の周りを回る天体が見つかりました。この天体が惑星なのか褐色矮星なのかは分かっていません。

2014年から2018年まで行われていた「K2ミッション」は、「ケプラー」宇宙望遠鏡の延長ミッションに当たります。K2は主要ミッションと同様にトランジット法で系外惑星を見つけることを主な目的としましたが、最初の観測である「キャンペーン0」(C0, 2014年3~5月)は、ふたご座の方角にある2つの散開星団(M35とNGC2158)を対象とし、主に性能確認や星団・変光星の研究に用いられました。

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米ウィルコックスハイスクールに所属する S. Dholakia 氏らがarXivに投稿した研究(arXiv:1907.06662)は、C0のデータから新たに低質量の伴星を発見したことを伝えています。

伴星が見つかった恒星「2MASS J06101557+2436535」は、M35星団の近くにある13等星です。ガイア衛星のデータやその他の研究によると、この星は偶然M35と同じ方向に見えているだけの星団とは無関係の天体と見られます。

伴星の発見

K2・C0のデータは惑星を探すために使うことは意図されておらず、K2ミッションで通常使われている惑星検出アルゴリズムは適用できません。そのため研究チームはC0のデータを処理する独自のプログラムを作成しました。

これを用いて惑星を探したところ、観測視野の端にある2MASS J06101557+2436535の光度が、7.56日周期で0.68%ほど一時的に暗くなることが見つかりました。この星は2015年にK2のデータを元に作成された変光星・惑星候補のリスト(LaCourse et al. 2015)に含まれているものの、個別の天体として詳しくは研究されていませんでした。

フォローアップ観測

研究チームは2MASS J06101557+2436535を詳しく調べる目的で以下のフォローアップ観測を行いました。

  • ハワイ州ケック天文台ケックI望遠鏡「HIRES」分光器
  • アリゾナ州WIYN天文台3.5m望遠鏡「NESSI」高コントラスト撮像装置
  • ハワイ州ハレアカラ天文台LCO 0.4m望遠鏡(測光)

これらの結果、この星は高速で自転する高温(8500±500K(8200±500℃))の恒星であること・K2で観測された変光は2017年の時点でも同様に起きていること・誤検知の原因となるような別の天体が周りに存在しないことが確かめられました。

伴星質量を測定するために一般的に用いられている視線速度法は、主星が高速で自転しているこの系では使えませんでした。

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伴星の性質

発見された伴星「2MASS J06101557+2436535 b」は、惑星か褐色矮星だと考えられていますが、質量は不明です。この星は半径0.096天文単位(地球と太陽の距離の0.096倍)の軌道を7.56日かけて公転し、半径は木星の約1.5倍あります。

仮に伴星が惑星であれば、2MASS J06101557+2436535は既知のトランジット惑星の主星として2番目か3番目に温度が高い星になります。最も高温のトランジット惑星の主星は「KELT-9」(約10200K)で、「KELT-20/MASCARA-2」(約8700K)と呼ばれる恒星も誤差の範囲で今回の主星より温度が高い可能性があります。


2MASS J06101557+2436535の等級はフォローアップ観測に好適とは言えないものの困難な暗さではありません。特に、この星が大きい自転速度を持っていることは「ドップラートモグラフィー」法の観測に適しています。この技法では伴星の軌道と主星の赤道面のなす角を知ることができます。

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また伴星は高温になっていると考えられるため、伴星が主星の奥に隠れる「掩蔽」の観測も有力な手段です。特に「スピッツァー」宇宙望遠鏡などの赤外線望遠鏡を用いれば有用な観測結果が得られると期待されています。


Dholakia氏らの研究は2019年7月15日にarXivに投稿され、17日に公開されました。コメントによると研究は『Publications of the Astronomical Society of the Pacifi』に掲載予定ということです。

参考文献

  • Dholakia, S. et al., 2019, “A Substellar Companion to a Hot Star in K2’s Campaign 0 Field”, arXiv:1907.06662v1.

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カテゴリ:K2

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