ティーガーデン星の惑星に生命は存在可能か?

より現実的な仮定

熱の再分配の効率を50%とすると、Hatmの範囲が大幅に広がり、惑星bと惑星cでそれぞれ0.3~4.9と0.9~15の間で居住可能と計算されました。惑星bは、地球に似た条件はもとより、火星のようなHatmの低い条件でも居住可能性が保たれます。また惑星cは地球に似た条件に加え、地球と金星の中間的な条件でも居住可能な環境が生じ得ます。

※再分配の効率が下がるとHatmの範囲が広がるのは、今回の研究では、惑星の少なくとも一部の地域が温度条件を満たすことを居住可能性の条件としていることに関連しています。熱の再分配が小さければ惑星の表面温度は昼から夜の半球にかけて大きく変わるため、惑星上の一部の地域が居住可能な温度条件に入ることが起きやすくなります。

仮に惑星bと惑星cが同じHatmを持っていれば、Hatmが「0.3~15」という広い範囲で、少なくともどちらか片方の惑星が居住可能になります。今回の研究はシンプルなモデルに基づいたものですが、ティーガーデン星の惑星には十分生命が存在しうることを示しています。

温度以外の要素

ティーガーデン星系の惑星が地球と異なるのは潮汐固定だけではありません。ティーガーデン星のような質量の小さい赤色矮星は活発なフレア活動や強いX線・紫外線放射を示し、惑星の大気をはぎ取ってしまうかもしれません。今回の研究では主に惑星の温度分布について調べていますが、恒星の活動性と惑星の大気についても簡単に議論しています。

形成から100億年近くが経過した現在のティーガーデン星は赤色矮星としては静穏ですが、若い時代には活動性が高かったはずです。そのため現在ティーガーデン星が静穏という事実は問題の解決になりそうにありません。

ティーガーデン星の惑星に強い磁場があれば、大気の流失を抑えられると考えられています。現在の惑星b・cは潮汐固定のためにゆっくりと自転していると見られ、強い磁場は期待できません。しかし研究チームによると、ティーガーデン星が若く活発だった時代には惑星はまだ潮汐固定には至っておらず、強い磁場を保っていた可能性があります。

仮に惑星大気が失われても、惑星の内部から補充されるかもしれません。実際に、現在の地球大気は原始的な大気ではなく、火山活動で地球内部から放出された成分で構成されています。一般的に、惑星内部からのガスの供給は時間と共に衰えますが、それは大気を流出させる恒星の活動性も同じです。

また、ティーガーデン星の惑星が、地球と比べてやや大きい質量(地球の1.1~2倍程度)をもつことは、磁場の発生や大気の保持に有利に働くと見られます。

これらの論点は、ティーガーデン星の惑星大気は必ずしも失われないことを示しています。とはいえ、確実な結論を得るためにはより具体的で定量的な議論が必要です。


Wandel氏らの研究は2019年6月18日にarXivに投稿され、19日に公開されました。

参考文献

  • Wandel, A. & Tal-Or, L., 2019, “On the Habitability of Teegarden’s Star planets”, arXiv:1906.07704v1.

「ティーガーデン星の惑星に生命は存在可能か?」への2件のフィードバック

  1. 実際に温暖な大気や液体の水をたたえた大地を持つ惑星かどうかは今後の観測技術の進歩を待たねば判らない事ですが、太陽系近傍にも沢山ハビタブルゾーンを公転する系外惑星が有るものですね!

  2. コメントありがとうございます。
    赤色矮星は太陽型星と比べて(本当にハビタブルかどうはかはともかく)ハビタブルゾーン内の地球型惑星が高い確率で存在するという研究もありますので、期待したいですね。

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