TESSが軌道共鳴にある2つの木星型惑星を発見

TESSが恒星「TOI-216」に2つの太陽系外惑星を見つけました。2つの天体はそれぞれ17.09日と34.56日周期で公転する木星型惑星(巨大ガス惑星)です。

2018年に打ち上げられたNASAの人工衛星「TESS」は、トランジット法で太陽系外惑星を観測しています。トランジット法とは、惑星が恒星の手前を横切る間に恒星が暗くなることを利用した方法です。

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項目TOI-216太陽
質量
太陽比
0.87±0.041
半径
太陽比
0.84±0.041
有効温度5026±125 K5780 K

今回、米コロンビア大学の David Kipping 氏らが報告した2つの惑星は、「TOI-216」と呼ばれる太陽に似た恒星の周りを公転する木星型惑星です。

惑星「TOI-216b」と「TOI-216c」は、2018年11月に惑星候補として検知されました。通常、TESSのデータだけでは、惑星候補が惑星か確かめるのは困難ですが、TOI-216では2つの惑星が軌道共鳴にあるという状況が整っていました。軌道共鳴とは、2つの天体の公転周期が整数比に近い値になっている状態です。このような場合、惑星の重力は互いの軌道に強い影響を与えます。

軌道が変化しなければトランジットは等間隔で起こりますが、間隔に変動(トランジット時刻変動, TTV)が生じていれば、惑星を確認するための有力な手掛かりになります。

実際に、TESSが観測した2つの惑星のトランジット時刻には明らかなTTVが生じていました。研究チームは、観測されたTTVを引き起こし得る天体の質量をシミュレーションを使って検証したところ、2つの天体が惑星相当の質量を持つことが確実になりました。

惑星系

項目TOI-216bTOI-216c地球
公転周期17.09日34.56日365.25日
質量
地球比
26±24189±2151
半径
地球比
8.2±3.011.3±0.61
平均密度0.24±0.30
g/cm3
0.72±0.87
g/cm3
5.5
g/cm3

今回発見された惑星「TOI-216b」と「TOI-216c」は、いずれも地球の約10倍の半径がある木星型惑星です。地球より温度が高いもののホットジュピターほど高温ではない「ウォームジュピター」に分類されます。

内側の惑星TOI-216bは、サイズの割に質量が小さく、平均密度は非常に低いと見られます。一方で外側のTOI-216bは、太陽系の土星に似た密度を持ちます。

2つの天体はそれぞれ17.09日と34.56日周期で恒星を公転しています。周期の比が1:2に近いことは、2つの惑星が軌道共鳴にあるとことを示しています。

奇妙な一致

研究チームはこの惑星系が既に知られている惑星系「ケプラー9」系と似ていることを指摘しています。

ケプラー9系はケプラー宇宙望遠鏡が発見した惑星系で、惑星の質量を調べるのにTTVが使われた点でTOI-216と同じです。ケプラー9系には2つの木星型惑星が軌道共鳴に近い状態にあり、質量が小さく密度が低い点でもTOI-216と一致しています。

一方でケプラー9系では2つの木星型惑星の内側に別の小さい惑星がありますが、TOI-216では現時点で見つかっていません。

(関連記事:観測方法が原因? 惑星系ケプラー9の謎が検証される

軌道共鳴の存在は、かつて原始惑星系円盤の中で惑星の軌道半径が変化する「惑星マイグレーション」が起きたことを示しています。

研究チームは、ケプラー9やTOI-216系の内側のガス惑星に見られる質量は、内向きの速いマイグレーションが生じる理論上の範囲に重なっており、これらの惑星系では過去にそのような現象が起きたかもしれないとしています。

TESSは1か月ごとに方向を変えながら観測を行いますが、この惑星系は観測の範囲が重なる領域に含まれているため、合計で1年近く観測される見込みです。今後のTESSの観測や地上からのフォローアップによって、さらに詳しい性質が明かされることが期待されます。

Kipping氏らの研究は2019年2月11日にarXivに投稿され、12日に公表されました。

参考文献

Kipping, D. et al., 2019, “A resonant pair of warm giant planets revealed by TESS”, arXiv:1902.03900v1.

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