赤い三連星に惑星が見つかる

TESSの観測で赤色矮星の3連星の中に地球型惑星が見つかりました。太陽系近傍にあるこの惑星系は、惑星大気の観測ターゲットとして有望です。

LTT 1445 A系と太陽系の比較

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターに所属する Jennifer G. Winters 氏らがarXivに投稿した研究(arXiv:1906.10147)は、太陽系近傍の連星系「LTT 1445」に系外惑星を発見したことを伝えています。

LTT 1445は太陽系から22.4光年の距離にある3連星系です。この連星系に含まれる恒星のうち、2番目に明るい「LTT 1445 B」と最も暗い「LTT 1445 C」が近接した連星ペアをなしており、このペアと、最も明るい「LTT 1445 A」が上位階層の連星系を構成しています。3つの恒星はいずれも赤色矮星(低温の小さい恒星)に分類されます。

系外惑星観測衛星「TESS」によって発見された惑星「LTT 1445 Ab」は、3連星の主星LTT 1445 Aの周囲にあります。この惑星は地球の1.35倍のサイズ(半径)を持つ地球型惑星(岩石惑星)と見られ、半径0.038天文単位(地球と太陽の距離の0.038倍)の軌道を5.36日で一周します。

LTT 1445 A系と太陽系の比較
LTT 1445 A系と太陽系の比較。横軸が日射量、円の大きさが惑星半径を表す。

「HARPS」分光器を用いた視線速度法の観測では、惑星質量は最大でも地球の8.4倍と見積もられました。惑星系のハビタブルゾーン(惑星表面に気体の水が存在できる範囲)は、主恒星から0.093から0.182天文単位の範囲で、0.038天文単位の軌道を公転するLTT 1445 Abは生命が存在するには高温過ぎると見られます。

軌道面

惑星の軌道は恒星A-恒星BCペア間の距離に対して十分に小さいため、BCペアの惑星に対する直接の影響はほとんどありません。一方で惑星系が形成される時には影響した可能性があります。

研究グループが連星の軌道運動を調べたところ、この連星系の恒星A-恒星BCペアの軌道面と惑星の軌道面が同一平面にある可能性が高いことが分かりました。

この結果は連星系がどのように誕生したのかヒントを与えています。惑星と連星系の軌道面が揃っていることは、回転しながら収縮するガスや塵の塊が分裂してこの連星系が生まれたことを示しています。誕生直後の恒星は過密な星団に含まれるため、別々に生まれた星が星団の中で出会って連星系となることもあると考えられていますが、この連星系にそれは当てはまらないようです。

観測

研究グループによると、この惑星はトランジット(惑星が恒星の手前を横切ること)を起こしている惑星としては太陽系から2番目に近い距離にあり、赤色矮星のトランジット惑星に限れば最も太陽系に近い星です。視線速度法でのみ観測されている太陽系近傍の惑星は他にもありますが、トランジットが観測可能であれば惑星のサイズ・密度や大気ついて情報を得ることができます。

LTT 1445系は30メートル級の地上望遠鏡やジェームズウェッブ宇宙望遠鏡などの近未来に計画されている望遠鏡を用い地球に近いサイズの惑星について大気を研究する上で重要なターゲットとして期待されます。

Winters氏らの研究は2019年6月24日にarXivに投稿され、26日に公開されました。

参考文献

  • Winters, J. G. et al., 2019, “Three Red Suns in the Sky: A Transiting, Terrestrial Planet in a Triple M dwarf System at 6.9 parsecs”, arXiv:1906.10147v1.

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カテゴリ:TESS

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