赤色矮星の惑星は必ずしも潮汐固定されているとは限らない

潮汐力の変動は海を変形させます。この変形はさまざまな周期の振動を重ね合わせたものとして表現できますが、その周期のどれかと惑星の公転周期が一致するような状況では、惑星に対して(固体惑星と比較して)大きなトルクが働くことがあります。

惑星に大きなトルクが働き潮汐固定から外れたどうなるのでしょうか?仮にこのトルクが働き続ければ惑星の自転は永久に加速されます。しかし実際には、トルクの大きさは惑星の自転周期に敏感に影響され、どこかでトルクが0となる(=自転の変化が停止する)ことになります。結果として潮汐固定でも2:3共鳴でもない中途半端な周期が最終状態になります。

惑星に十分大きなトルクをはたらかせるには一定より大きい離心率が必要です。必要な離心率の最小値は概ね0.06~0.3の間ですが、この値は惑星の海の性質(深さなど)や惑星の自転周期によって大きく変化し、わずか0.01の離心率で潮汐固定から外れるケースもありました。なお離心率が十分に大きい場合(0.3以上)は海洋の有無にかかわらず3:2共鳴に至ります。

より現実的な想定

以上の話は簡単のため潮汐固定された状態を初期条件としていますが、実際の惑星は自転の速い状態で生まれた後、徐々に潮汐固定やその他の最終状態に向かいます。

研究チームは自転周期が公転周期の0.8倍(=自転の方が速い)という初期条件で計算を行いました。その結果、海洋を持った惑星では、(1) 離心率が小さい時(0.063)には潮汐固定に (2) 大きい時(0.3)には2:3共鳴に (3) 中間(0.2)ではその中間の様々な周期 が最終状態となることが示されました。

実際の惑星系

今回の研究では、海を持った惑星では固体惑星と比べて大幅に低い離心率でも潮汐固定されない状態に至り得ることが分かりました。惑星が潮汐固定されているかどうかは惑星の気候に大きな影響を与え、居住可能性も左右し得ます。

実際の惑星系の例をみると、プロキシマの周りにあるプロキシマbは離心率が0~0.1と推定されており、潮汐固定されていない可能性があります。

一方で7つの地球型惑星が知られているTRAPPIST-1では、それぞれの惑星の離心率が低いと考えられています。そのため、潮汐固定されていない可能性は、全く無い訳ではないものの、高くないとみられます。


Auclair-Desrotour氏らの研究は2019年7月15日にarXivに投稿され、16日に公開されました。

参考文献

  • Auclair-Desrotour, P. et al., 2019, “Final spin states of eccentric ocean planets”, arXiv:1907.06451v1.

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カテゴリ:居住可能性

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