近接連星の複雑な事情

近接連星では恒星の間に働く潮汐力が恒星の自転に影響し、恒星の活動性が高くなると考えられてきました。

今回太陽に似た2つの恒星からなる連星系を想定した研究で、連星の初期条件次第で、活動性の減少や恒星の融合を含む多様な結果がもたらされることが示されました。


太陽は単一星ですが、太陽型の恒星では半分近くが連星です。

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2つの星が十分に近い位置にある近接連星系には「周連星惑星」が存在できます。その惑星がハビタブルゾーン(惑星表面に海が保てる範囲)に収まる軌道を持つ地球型惑星ならば地球外生命が存在するかもしれません。

ただし連星系では連星を構成する恒星が互いに「潮汐力」を与え合うことが問題を難しくします。

※ある天体が重力(万有引力)を受けている時、その天体の重力源に近い部位と遠い部位では作用する重力の大きさに差が生じます。この差は「潮汐力」として表すことがができます。

潮汐力は恒星の自転を「自転周期=公転周期」の状態に向けて変化させていきます。十分潮汐力が大きければ、やがて相手の恒星に常に同じ半球を向ける「潮汐固定」が起きます。

自転と活動性

ところで恒星には黒点・フレアの発生やX線・紫外線の放射などの活動性が見られます。自転は恒星の活動の程度決める要素です。一般的に同じ質量の恒星ならば自転周期が短いほど活発です。

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恒星は高速で自転する状態で生まれます。単一星では自転は遅くなり続けます。これは恒星から放たれる「恒星風」が恒星の角運動量を少しずつ運び去るためです。

一方潮汐固定された連星系では自転は公転と同期して変化しなくなります。つまり数十億年が経った後も高い活動性を示すことが考えられます。

また潮汐固定された連星系から恒星風によって角運動量が持ち去られると、自転が遅くなる代わりに連星の距離が縮小します。

研究

オーストリアのウィーン大学に所属する C. P. Johnstone 氏らがarXivに投稿したプレプリント(arXiv:1904.08295)は、連星系の自転・公転と惑星大気の進化を調べています。

研究チームは、太陽と同じ質量の恒星からなる連星系を想定し、連星の初期間隔・初期自転速度を変えながら恒星の自転がどう変化するかを計算しました。

恒星の初期の自転速度には個体差があると見られています。今回の研究では収縮終了直後の自転周期が約0.2日(高速自転星)~5日(低速自転星)の範囲を想定しています。

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