TOI-270系の3つの惑星の質量が初めて明らかに

2019年に発見された太陽系近傍の赤色矮星TOI-270(別名L231-32)の3つの惑星の質量と密度が初めて測定されました。

TOI-270

TOI-270(別名ルイテン231-32, L231-32)3は太陽系から73光年の距離にある小さな恒星(赤色矮星)です。2019年、NASAの観測衛星「TESS」のデータに基づきTOI-270の周りに3つの太陽系外惑星が見つかりました。これらの惑星はサイズ(半径)が内側からそれぞれ地球の1.1倍・2.3倍・2.0倍と小さく、惑星系が太陽系近傍にあり観測しやすいという点からも注目されています。

ただ、これらの惑星の物理的性質についてはサイズ以外はほとんど分かっていませんでした。 なぜならTESSの観測に用いられる「トランジット法」は、惑星のサイズや公転周期を精確に測定できる一方、惑星の質量や密度については原理的に知ることができないからです。

TOI-270
TOI-270系の3つの惑星(下)と太陽系の惑星のサイズ比較。
惑星公転周期
(日)
半径
(地球=1)
b3.361.15 ±0.05
c5.66 2.33 ±0.07
d11.382.01 ±0.07

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの V. Van Eylen 氏らの国際グループがarXivに投稿した研究は、TOI-270系の惑星質量と密度を初めて明らかにしたものです。Van Eylen 氏らは、欧州南天天文台 (ESO) が南米チリのパラナル天文台に設置しているVLT望遠鏡を使って、惑星の公転運動に伴う恒星の視線速度(=奥行き方向の速度)の変動を測定しました。TOI-270系の場合、変動の振幅は秒速1.3~4.2メートルに過ぎませんでしたが、VLTに設置された最新の「ESPRESSO」分光器によりこの微弱な変化を明瞭に捉えることができました。

観測の結果、惑星の質量は内側からそれぞれ(惑星b・c・d)、地球の1.58±0.26倍・6.14±0.38倍・4.78±0.46倍であることが分かりました。この質量とTESSが測定した半径から計算される惑星の平均密度はそれぞれ5.7g/cm3・2.7g/cm3・3.3g/cm3です。最も内側の惑星bは地球と類似した組成を持つ地球型惑星(岩石惑星)として予想される値と一致しています。外側の2つの惑星c・dは、岩石よりも低密度の物質を含んでいます。恐らくは岩石のコアの周りを全体質量の1%程度の水素・ヘリウムの外層が取り囲んだ、太陽系で言う地球型惑星と天王星型惑星の中間のような構造と考えられています。

惑星質量
(地球=1)
平均密度
(g/cm3)
b1.58 ±0.265.7 ±1.2
c6.14 ±0.382.68 ±0.30
d4.78 ±0.473.28 ±0.45

これまでの研究では、TOI-270系のような短周期の惑星は、地球半径の1.5~2.0倍を境に、質量が小さい高密度の惑星と、質量が大きく低密度の惑星との2つのグループに分かれることが知られています。TOI-270系の3つの惑星もこの傾向に当てはまっています。

Van Eylen氏らの研究は2021年1月5日にプレプリントとしてarXivに投稿されました。投稿に付されたコメントによるとこの研究は2020年12月8日に学術誌『王立天文学会月報』 (MNRAS) に投稿したということです。

参考文献

  • Van Eylen, V. et al., 2021, “Masses and compositions of three small planets orbiting the nearby M dwarf L231-32 (TOI-270) and the M dwarf radius valley”, arXiv:2101.01593.

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