TESSがほぼ地球サイズの惑星を含む3つの惑星を発見

TOI-270

NASAの系外惑星観測衛星「TESS」が恒星「TOI-270」に3つの惑星を見つけました。惑星の1つは地球の1.2倍という小さいサイズを持ちます。


発見を伝える論文は、マサチューセッツ工科大に所属する Maximilian N. Günther 氏らの研究グループによってプレプリントとしてarXivに投稿されました。

主恒星「TOI-270」は太陽と比べて小さい赤色矮星です。3つの惑星は内側から3.36日・5.66日・11.38日で主星の周りを公転しています。

惑星はいずれも地球と海王星の中間のサイズを持ち、最も内側の惑星「TOI-270b」は半径が地球の1.2倍しかありません。外側の「TOI-270c」と「TOI-270d」はそれぞれ地球の2.4倍と2.2倍の半径です。

惑星の質量や密度は現時点では分かっていません。

TOI-270
TOI-270系の3つの惑星(下)と太陽系の惑星のサイズ比較。

惑星系の詳細なデータは本文末尾に載せています。

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特徴

研究チームは、この惑星系には今後詳細な観測に値する多くの特徴を備えていることを述べています。

明るく静穏な恒星

TOI-270は可視光では目立たない星ですが、近赤外線では観測に適した明るさ(Kバンドで8.3等級)を持ちます。特に、複数のトランジット惑星を持つ恒星としては屈指の明るさです。

またTOI-270は他の赤色矮星と比べて巨大黒点やフレアなどの活動が静穏です。このため黒点やフレアが観測に影響を与える心配が少なくなります。

2種類の惑星

TOI-270系には異なる種類の惑星が共存しています。これまでの研究で、小型の惑星(半径が地球の約4倍以下)は地球半径の1.7-2.0倍を境に大小2つのグループに分かれることが知られています。

惑星bは小さい側、惑星c・dは大きい側に属し、2つのグループを比較研究するのに適しています。

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軌道共鳴とTTV

惑星が「軌道共鳴」に近い関係にあることも注目されます。軌道共鳴とは惑星の公転周期が整数比に近い状態となることを言い、TOI-270系では3つの惑星が3:5:10に近い比率になっています。この場合、TTV法という手法を用いた観測が容易になります。

仮に惑星の軌道が固定されていればトランジットは常に一定間隔で起きるはずです。惑星の軌道が変化していればトランジット発生時刻の等間隔からのずれ (TTV) が生じます。このTTVの振幅は、軌道共鳴が生じている(あるいはそれに近い)場合、大きくなることが知られています。

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研究チームの推計では、惑星c・惑星dではそれぞれ振幅10分以上・30分以上のTTVが約3年周期で起きるとみられています。この振幅は容易に観測可能な大きさです。TTVを調べることで惑星の質量を測ることができます。

そのほか

主星が明るく静穏なこの惑星系は、地上の望遠鏡やジェームズウェッブ宇宙望遠鏡 (JWST, 開発中) を用いた分光観測にも適します。分光観測では視線速度法による質量の測定が可能なほか、JWSTの観測では惑星の大気を調べることも可能です。

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発見された3つの惑星はいずれもハビタブルゾーン(液体の水が表面に存在可能な範囲)より高温側にありますが、今後の観測でハビタブルゾーン内に追加で惑星が見つかることも期待されています。


TOI-270のような多重惑星系はこれまでにもケプラー宇宙望遠鏡の観測で発見されていますが、大半がフォローアップ観測に適さない暗い恒星の周囲にあります。複数の興味深い特徴を持ち、フォローアップ観測も容易なTOI-270は今後の研究のターゲットとして特に有望です。

研究グループは最初の段階として、トランジット発生時刻を継続的に調べることで惑星の質量をTTV法で測定する予定ということです。

Günther氏らの研究は2019年3月14日にarXivに投稿され、15日に公開されました。

参考文献

  • Günther, M. et al., 2019, “A Super-Earth and two Sub-Neptunes transiting bright, nearby and quiet M-dwarf TOI-270”, arXiv:1903.06107v1.

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