連星系は少数派 赤色矮星の大規模調査が明かす

「赤色矮星」とは太陽と比べて質量が軽い恒星(0.07~0.60倍程度)のことです。赤色矮星は暗い天体ですが、個数ベースで銀河系全体の恒星の75%を占めているため、銀河系の実像を知る上で欠かせません。

今回のサーベイは「RECONS」と呼ばれる太陽系近傍の宇宙を研究するプロジェクトの一環として行われ、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの J. G. Winters 氏らによって結果が公表されました。太陽系から25パーセク(81.5光年)以内にある1120個の赤色矮星が対象となっています。

研究では、ターゲットが連星系かどうかを調べるため、アーカイブ画像の調査と4台の望遠鏡による観測を行いました。この方法で検出できない連星系は、間接的な技法や文献調査で検証しました。さらに、観測から連星系が漏れる確率を考慮し、補正を加えて、最終的な結果がまとまりました。

赤色矮星は孤独な傾向

サーベイの結果、赤色矮星の連星率(multiplicity rate, 恒星系のうち連星系が占める割合)は26.8±1.4%と判明しました。また赤色矮星系1つあたりに存在する赤色矮星の個数は、1.324±0.014個でした。これらの値は、近年の類似したサーベイの結果を、より高い精度で裏付けるものです。

赤色矮星より質量の大きい「ソーラータイプ」(太陽類似星)と呼ばれる種類の星では、連星率は約50%に達することが知られています。赤色矮星の連星率はこれより明らかに低いことが確認されました。

また、赤色矮星の中にも、質量が小さいほど連星率が低くなる傾向があることが分かりました。

銀河系の連星率

赤色矮星はその数の多さのため恒星全体の連星率の推定に大きな影響を与えます。過去の研究に今回のサーベイを組み合わせた推定では、銀河系全体の連星率は31±0.05%という結果が得られました。これは連星系は銀河系内では少数派であることを示しています。

このサーベイでは、他にもいくつかの統計的事実が明らかになっています。

(詳細は2ページ目参照)


Winters氏らの研究は2019年1月18日にプレプリントとしてarXivに投稿されました。この研究は、「RECONS」が発表する論文『The Solar Neighborhood』の第45弾として、天文学の学術誌『アストロノミカルジャーナル』に掲載予定です。

参考文献

  • Winters, J. G. et al., 2019, “The Solar Neighborhood XLV. The Stellar Multiplicity Rate of M Dwarfs within 25 pc”, arXiv:1901.06364v1.

更新履歴

2019−04−24 全面改稿

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