超低温矮星の周りに巨大ガス惑星の候補が見つかる

電波望遠鏡で恒星の位置を調べる「電波アストロメトリ法」で、系外惑星候補「TVLM 513-46546 b」が発見されました。この方法で検出された惑星候補としては最初のもので、低質量の主星の周りを公転する木星型惑星(巨大ガス惑星)という点でも注目されます。


TVLM 513-46546は「超低温矮星」(Ultra Cool Dwarf) に分類される暗く小さい天体です(※)。推定される太陽の6~8%という質量は、恒星と褐色矮星の境界付近にあり、恒星と褐色矮星のどちらかなのははっきりしていません。また、この星には強い磁場があり、これまでにも磁気的活動に伴い放出される電波が観測されてきました。

※) 超低温矮星の「低温」とは、通常の恒星と比べて温度が低いという意味で、表面温度は2000℃以上あると考えられています。

惑星TVLM 513-46546 b 発見を伝える論文は、メキシコ国立自治大学に所属するSalvador Curiel 氏らのメキシコ・ドイツ・アメリカの研究グループにより、2020年8月5日にarXivでプレプリントとして公開されました。

研究グループは、2018年6月から1年半の間に、アメリカの「VLBA」電波望遠鏡群を使って、TVLM 513-46546の精確な位置を調べました。VLBAはアメリカの各地に散らばる電波望遠鏡で協調して観測を行い、高い空間分解能を得る観測システムです。研究グループが過去6回分および今回取得された17回分のデータに基づいて天体の運動(位置の時間変化)を調べたところ、TVLM 513-46546の周りを惑星質量の天体が公転しているらしいことが分かりました。

検出された惑星候補「TVLM 513-46546 b」は、木星のおよそ4割の質量を持つ木星型惑星(巨大ガス惑星)と考えられています。この天体が約220日ごとに主星を一周し、主星の周期的な位置の変動を引き起こしているようです。軌道半径は0.3天文単位(=地球と太陽の距離の0.3倍)です。ただし現時点では確定的とは言えず、「候補天体」として扱われています。

一般的な惑星形成論である「コア集積モデル」によれば、超低温矮星の周りでは木星型惑星は稀にしか生まれないと予想されます。TVLM 513-46546 bのような惑星がどれほど存在するのかは惑星形成論を検証する上で重要と考えられています。

参考文献

  • Curiel, S. et al. 2019, “An astrometric planetary companion candidate to the M9 Dwarf TVLM 513-46546”, arXiv:2008.01595.

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