生後間もない惑星の質量を赤外線で測定

すばる望遠鏡の赤外線分光器を使った研究で、生まれたばかりの若い惑星「おうし座V1298b」の質量の上限が求められました。

「おうし座V1298」はおうし座にある生まれて間もない恒星です。誕生から2300万年しか経ていないこの星の周りには、ケプラー宇宙望遠鏡の延長ミッション(K2ミッション)のデータから2019年に惑星「おうし座V1298b」が見つかりました。

※比較として太陽の年齢は46億年です。

おうし座V1298bは木星の9割のサイズ(半径)を持ち24.1日かけて軌道を一周します。ハワイ・マウナケア山にあるケック望遠鏡の可視光分光器「HIRES」を用いた視線速度法の観測では、惑星質量は木星の8.3倍以下と見積もられました。

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新しい観測

カリフォルニア工科大学に所属する Charles Beichman 氏らの研究グループが『Reseaech Notes of the AAS』に投稿した研究は、マウナケア山の すばる望遠鏡が備える赤外線分光器「IRD」を用いて、おうし座V1298bの質量を測定した結果を伝えています。

2019年2月から3月にかけてIRDを使って行われた観測では、視線速度の振幅は10±48m/s、惑星質量は木星の0.15±0.75倍と求められました。1倍を大きく超える相対誤差は今回の観測でもなお質量を明確に定めるには不十分なことを示しています。

一方で惑星質量の上限(3σ上限)は木星の2.2倍に絞り込まれました。これは従来の上限(8.3倍)と比べて4分の1の狭さです。

若く活動的なおうし座V1298系では、主星本体に由来するの非常に大きな視線速度のノイズが生じています。これが前述のHIRESの観測で惑星質量のごく大まかな上限しか分からなかった理由です。このノイズは赤外線では比較的小さくなるため、IRDのような赤外線分光器を使えば詳しい測定が可能になります。


おうし座V1298bのような若い惑星は、惑星系の形成と進化を知る上で重要な研究ターゲットです。研究グループは惑星の質量や組成を知るためにはさらなる観測が必要としています。

Beichman氏らの研究は2019年6月27日に『Reseaech Notes of the AAS』に正式に掲載されました。

参考文献

  • Beichman, C. et al., 2019, “A Mass Limit for the Young Transiting Planet V1298 Tau b”, RNAAS 3, 89.

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カテゴリ:視線速度法

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