系外惑星の奇妙な質量分布

小型の系外惑星が分布の谷間を挟んで大質量と低質量のグループ分かれることが明らかになりました。その原因は不明です。

2009年から2018年まで運用された「ケプラー」宇宙望遠鏡は小型の惑星(地球半径の4倍以下)を数多く見つけました。これらの惑星は、地球半径の1.5〜2倍を分布の「谷間」として、半径の大きいグループと小さいグループに二分されることが分かっていますいます。

英ウォーリック大学に所属する David J. Armstrong 氏らが6月27日にarXivに投稿した研究(arXiv:1906.11865)は、惑星の質量分布に、同様の谷間を発見したことを伝えています。


研究では、これまでにケプラーを含めた各種のプロジェクトで見つかった低質量の系外惑星のうち、視線速度法やTTV法で質量が精度よく調べられているものを抜き出しました。

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このサンプルを調べたところ、特定の軌道半径と惑星質量組み合わせで、ほとんど惑星が見られないことが分かりました。これは連続的な分布の「谷間」を成しており、軌道半径が大きくなるほど低質量側に移動します。

軌道半径−質量の図でこの谷間を表すと、公転周期と質量が「0日・20地球質量」と「20日・0地球質量」の2点を結ぶ右下がりの直線になり、惑星はこれを避けるように分布しています。谷間の存在は観測の偏りや偶然では説明できないものです。

2つの谷間

質量の谷間は一見して以前から知られている「半径の谷間」に対応しているように見えます。実際に、軌道が大きくなるほど谷間が質量や半径の小さい側に移るという特徴は両者に共通します。

しかし、質量と半径がともに知られている惑星を見ると、2つの谷間は別物だと分かります。特に半径では谷間の上側(大きい側)に含まれるにも関わらず、質量では谷間の下側(低質量側)にある惑星が多く見られました。

質量の谷間がどのようなメカニズムで形成されるのかは明らかでありません。半径の谷間は惑星大気が流出することで形成されるという説が有力ですが、別の位置にある質量の谷間は他のメカニズムで作られたはずです。

今後、系外惑星観測衛星「TESS」とそのフォローアップ観測で、質量と半径が同時に知られている惑星が増えれば、谷間の成因を詳しく検証できるようになると期待されます。

Armstrong氏らの研究は2019年6月27日にarXivに投稿され、7月1日に公開されました。

7月17日に『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に正式に掲載されました(リンク)。

参考文献

  • Armstrong, D. J. et al., 2019, “A Gap in the Mass Distribution for Warm Neptune and Terrestrial Planets”, ApJL 880, L1. (arXiv:1906.11865).

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カテゴリ:系外惑星の統計

更新履歴

  • 2019/7/02 – 作成
  • 2019/7/20 – ApJLへの掲載について加筆

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