特徴的な主星の周りに見つかった4つのホットジュピター

トランジット法で系外惑星を探している「WASP」プロジェクトが新たに4つのホットジュピター(高温の木星型惑星)を報告しました。

英キール大に所属する Coel Hellier 氏らの研究グループがarXivに投稿した研究(arXiv:1907.11667)は、小型の地上望遠鏡でトランジット法を通じて系外惑星を観測している「WASP」プロジェクトの成果を伝えています。報告された4つの惑星「WASP-178b」「WASP-184b」「WASP-185b」「WASP-192b」は、それぞれが別々の恒星の周りを公転しているホットジュピターです。


これらの天体は、2006~2014年(WASP-178b)または2006~2012年(ほか3つ)の間にWASPが記録したデータから「惑星候補」として検出され、以下の設備によるフォローアップ観測で惑星と確かめられました。

  • 1.2mオイラー望遠鏡・CORALIE分光器(チリ・ラシヤ天文台)
  • 1.2mオイラー望遠鏡・EulerCam撮像装置(チリ・ラシヤ天文台)
  • TRAPPIST-North(モロッコ・ウカイムデン天文台)
  • TRAPPIST-South(チリ・ラシヤ天文台)

関連記事:系外惑星の観測方法#トランジット法

WASP-178系

WASP-178系では、主星が高温の恒星という特徴があります。主星の「WASP-178」は太陽の2.1倍の質量と1.7倍の半径を持ち、表面温度は約9100℃に達しています。この星はこれまでに知られているトランジット惑星の主星のうち、「KELT-19」に次いで2番目に高温の星になりました。

惑星WASP-178bは木星の1.7倍の質量と1.8倍の半径を持つホットジュピターで、3.34日周期で主星の周りを公転しています。WASP-178系では主星の光度が大きいため、惑星WASP-178bの平衡温度は2200℃に達していると見られます。木星の1.5倍を超えるような巨大な半径は、このような高温のホットジュピターにしばしば見られる特徴です。

WASP-185系

WASP-185系では、惑星WASP-185bがホットジュピターとしては比較的長い公転周期(9.39日)を持ち、明らかな楕円軌道を公転している点が特徴です。楕円軌道の潰れ具合を示す軌道離心率は0.24±0.04と推定されています。

主星のWASP-185は太陽よりやや質量が大きい恒星で、半径は太陽の1.5倍あります。この星は巨星と言えるほどには膨張していないものの、巨星への変化が近づきつつある年老いた星と見られます。

一般的に、ホットジュピターには軌道を円軌道化する作用が主星から働くため、WASP-185bが楕円軌道を持つのはやや奇妙なことです。長めの公転周期は円軌道化のペースを遅くする一因ですが、それを考慮してもなお円軌道化にかかる時間はこの惑星系の年齢より十分短いと計算されています。これはWASP-185bが(天文学的スケールで見て)最近になって楕円軌道に移動したか、あるいはWASP-185bを楕円軌道化する未知の惑星や恒星の伴星が存在することを示しているのかもしれません。

恒星WASP-185の近くには別の暗い天体が見つかっており、これが伴星の恒星であった場合、惑星の軌道に影響を与えている可能性があります。しかしこの天体が真の伴星なのかあるいは背景や前景にある無関係な星なのかは今のところ明らかではありません

WASP-184系と192系

WASP-184bとWASP-192bは、WASP-185bと同様に年老いてやや膨張した恒星の周りを公転するホットジュピターです。WASP-184bと192bの公転周期はそれぞれ5.18日と2.88日で、ホットジュピターとしては標準的なものです。2つのい惑星とも軌道は円軌道に近いと見られています。


今回見つかった4つの惑星系のうち、WASP-178系と185系は主星が比較的明るいため、今後の詳細な観測のターゲットとして有用です。特に高温の主星の周りにあるWASP-178bは惑星大気の研究に、楕円軌道を持つWASP-185bは惑星の軌道の進化を研究する上で役に立ちます。

またWASPを始めとする各種のプロジェクトが発見してきた数多くの惑星は、統計的な研究の上でも重要な役割を果たしています。


Hellier氏らの研究は2019年7月26日にarXivに投稿され、29日に公開されました。

参考文献

  • Hellier, C. et al., 2019, “WASP-South hot Jupiters: WASP-178b, WASP-184b, WAP-185b & WASP-192b”, arXiv:1907.11667v1.

関連記事

カテゴリ:ホットジュピター

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。