81秒早く現れたホットジュピター

近点移動

NASAの系外惑星観測衛星「TESS」の観測によって、ホットジュピター「WASP-4b」のトランジットの間隔が短くなっていることが分かりました。その原因は現時点では不明です。


米プリンストン大のL. G. Bouma氏らの研究グループは、系外惑星「WASP-4b」の観測結果をarXivに投稿しました。WASP-4bは、2007年にトランジット法で見つかったホットジュピター(高温の木星型惑星)です。

この惑星は2018年にTESSの視野に入り、トランジットの発生時刻が詳しく調べられました。その結果、TESSより前の観測に基づく予測と比べ、81秒ほど早くトランジットが起きていることが分かりました。

※トランジットとは、惑星が主恒星の手前を横切る現象のことです。

※このようなトランジットの早期化が見られるホットジュピターとして、他に「WASP-12b」が知られています。

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2つの候補

研究グループは有力な説明として2つのメカニズムを挙げています。

1つは潮汐力により惑星の運動エネルギーが失われ、軌道が縮小しているというものです。この考えで「ずれ」を説明するには、公転周期が「毎年0.013秒」縮む必要があります。通常の潮汐力はここまで急な軌道の縮小をもたらしませんが、現在のWASP-4bが一時的に軌道の縮小が早まる特殊な状態にあればその限りではありません。

第2の可能性は「近点移動」です。近点移動とは近点(惑星が主恒星に最も近づく位置)の方角が時間とともに移動する現象です。

近点移動
楕円軌道の近点(あるいは楕円の長軸)の方角が徐々に変化する現象を近点移動と言います(詳細

近点移動はトランジット時刻に波打つような長期変動(周期数十年以上)をもたらし、その一部を切り出せば公転周期が短くなっているように見えます。

この説の課題は、惑星が楕円軌道でなければならないことです。WASP-4bに働く潮汐力は短時間で軌道を円軌道化します。ただ仮にWASP-4bの外側に惑星や伴星があれば、楕円軌道を長く保つことが可能です。


研究グループは現時点で原因は判断できず、より詳しい研究を広く呼び掛けるために今回の研究をまとめたと述べています。

トランジットの観測や伴星の有無を調べることは原因を絞り込む上で役に立ちます。またWASP-4bのようなホットジュピターが他に存在しないか調べることも有益です。

Bouma氏らの研究は3月6日にarXivに投稿され、8日に公開されました。

参考文献

Bouma, L. G. et al., “WASP-4b Arrived Early for the TESS Mission”, arXiv:1903.02573v1.

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